ギャバ、正式にはガンマアミノ酪酸というアミノ酸の一種
英語名がGamma-Amino Butyric Acidなので頭文字を取ってGABA(ギャバ)と略称されています。種子の胚芽部分に多く含まれ、特に発芽の際に多く作られます。発芽玄米などに多く含まれる成分です。 ギャバは主に人間の脳内に、微量に存在する抑制性の神経伝達物質です。ノルアドレナリン、ドーパミン、セロトニンなどは、それぞれの持つ役割を神経細胞の興奮を高める事で伝える、興奮性の神経物質です。 一方、 ギャバはその刺激が伝わらないように神経細胞の興奮を抑える、抑制性の神経伝達物質です。 今では、精神安定剤などの不安を抑えてくれる薬の多くに、この ギャバの働きを強める成分が使われています。 ギャバは脳の血流を活発にし脳細胞の代謝機能を促進します。また、延髄に作用して血圧を降下させます。更年期障害および自律神経障害にみられる精神症状やイライラを緩和します。さらに腎臓肝臓機能や肥満防止などにも効果があります。 ギャバは刺激に応じて放出され、神経伝達作用だけでなく、血圧上昇抑制作用、精神安定作用、腎・肝機能活性化作用、抗がん作用、アルコール代謝促進作用、消臭効果作用、肥満防止作用など、多岐に渡って報告されています。
近年では抑制神経伝達物質としての作用の他に、他の生理作用や類似化合物の研究がなされています。また健康食品市場においても「発芽玄米」の有効成分の一つとして注目を集めています。
最近ではギャバを多く含む発芽玄米が健康食品の一つとして人気があります。玄米は栄養分を蓄えて休眠状態を保ちながら発芽時期を待っている種子で、胚芽に必要なビタミンやミネラルなど豊富に含む栄養価の高い食品です。 玄米に水分を浸透させ、水分や温度などの条件が整うと胚芽中の酵素が活性化し、胚乳に貯えられているデンプン、タンパク質、脂質が分解され、デンプンは発芽のエネルギーに使われます。
また、発芽処理によって、玄米中では吸収されにくかった、鉄、カルシウム、マグネシウム、亜鉛などのミネラル類の吸収も良くなります。また、アミノ酸は旨み成分へ、デンプンは甘味成分へと変化します。
大麦、カボチャ、醗酵食品(チ-ズ、味噌、しょうゆ)、ギャバロン茶、温室メロン、漬物(しば漬、すぐき、キムチ、ぬか漬)、ヨ-グルト、豆腐、粥などのあらゆる食品で、ギャバ含量を増加させるための様々な製造法の研究が進められています。 チョコレートにも多く含まれていることが研究の結果、明らかになっています。またギャバと様々な食品の組み合わせや、種々の形態のサプリメント(粒状やタブレット)なども製造され、ますますギャバ商品の多様化がなされています。
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パーキンソン病及びてんかん患者の髄液中ギャバ量が減少していることが認められたことなどからギャバの投与が期待され、多くの研究が実施されてきました。 すでに国内でもギャバは脳代謝を促進する医薬品として製品化されており、脳梗塞、脳動脈後遺症による頭痛、耳鳴り、意欲低下などの脳血管障害の諸症状改善、治療に用いられています。
ギャバの安全性についての研究は余りありませんが、大量のギャバを経口摂取しても血液・脳関門をほとんど通過しないことなどから、比較的安全な物質とされています。 しかし、何らかの疾患がある場合に、誤った自己の判断でギャバのみを摂取しても十分な治療や改善の効果は期待できないばかりか病状を悪化させてしまうことにもなりかねません。必ず医師の診断を受け、指示に従うことが大切です。 利用する場合はバランスのよい食事を適切に摂った上で、補助的に摂取することが望まれます。 近年ではギャバの生理作用解明はもちろんですが、種々の食品についてギャバを富化させる研究や植物中に蓄積させた食品の加工・製造開発技術が進み、実用化されています。 さらに、それらのギャバを多く含む食品と、他の成分を多く含む健康食品とを混合した製品が健康食品市場で好評を得ていますが、それらの成分とその作用機序などについては不明なものがほとんどです。 これらの成分や他に含まれている微量成分の存在や健康維持・増進への有効性が明らかになることが期待されるところです。
現在、GABAは、血圧降下、精神安定などの作用で注目を浴びていますが、発見されたのは1950年。哺乳類の脳抽出液中から発見され、その後、脳髄や延髄に多く含まれ、抑制系の神経伝達物質として働き、脳の血流の活発化などに有用であることが明らかになっています。 日本では、昭和59年頃より、当時、農水省茶業試験場(現:独立行政法人野菜茶業研究所)に在籍していた津志田氏らがGABAを富化させたお茶の開発に着手。 6時間から10時間の窒素ガス処理で、カテキンやカフェインといった成分の含量変動はなく、グルタミン酸がほとんど全てGABAに変わるという新タイプのお茶の製造に成功しました。 また、平成6年には農水省中国農業試験場の森、堀野氏らが米糠(胚芽含む)からのGABAの生成に取り組み、米胚芽由来のGABA富化素材も開発されました。 その後、GABAを付加し、生理活性作用を高めた食品素材の開発が進められ、お茶や米、さらに健康食品などへの応用化が進みました。 これまでに報告されているGABAの主な生理活性作用としては、脳の血流改善、血圧降下、精神安定、腎・肝機能活性、アルコール代謝促進作用、消臭など。また、大腸がんの抑制作用についても期待されています。
脳機能の諸症状の改善作用としては、脳への酸素の供給量を増加させ、脳および脳細胞代謝亢進と活性化をするものです。 また、脳障害の後遺症(脳卒中後遺症や脳動脈硬化症による頭痛、耳鳴り、記憶障害)、意欲低下の改善作用、頭部外傷後遺症による頭痛の治療、アルツハイマー型痴呆症の予防・改善効果、ボケ防止、長期記憶促進作用、学習能力増強にも有効であるとする報告がなされています。
また、大腸がん予防にも有効とする報告もありますが、これらの研究では発芽玄米等を用いた、純粋なギャバだけによる投与実験だけではないため、ギャバの作用だけでなく、他に含まれている抗酸化物質、ビタミン、ミネラル、食物繊維などの共存物質による作用によることも考えられます。
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