ルチンは蕎麦(ソバ)・韃靼蕎麦(だったんそば)に多い抗酸化物質
ルチンは植物に含まれる色素成分・フラボノイドの一種で、毛細血管を強化して内出血を防ぐ働きがあります。昔から、蕎麦(ソバ)を食べていると脳溢血になりにくいといわれていますが、ルチンは、ソバの最も特徴的な機能性成分(抗酸化物質)として知られています。 ルチンが発見されたのは1930年代。皮膚内や粘膜下などに出血を起こす紫斑病の治療に有効だったためビタミンPと呼ばれていましたが、欠乏症が見出されていないため、現在は独立したビタミンとは考えられておらず、ルチンという名称で統一されています。 最近の研究では、血圧や血糖値の降下作用、膵臓機能の活性化作用などがあることも報告されています。ルチンは、ビタミンCと同時に摂取すると、毛細血管の強化作用がいっそう強められる性質があります。
ルチンには毛細血管を強化するはたらきがあり、血栓を防いで血流をスムーズにしてくれます。その結果、高血圧や動脈硬化の改善効果が期待されます。ルチンはアレルギー反応を引き起こすヒスタミンの分泌速度を遅らせるため、アレルギー治療薬としても利用されています。 また、ルチンはビタミンCの吸収を助けるため、一緒に摂るとその効果を高めます。その結果、コラーゲンの合成を促進して肌のシミやシワ、たるみを防いで結果的にルチンは肌の老化を予防します。 またビタミンCは抗酸化作用が強く、免疫力を高める効果があるため、ルチンの摂取は風邪やガンの予防にもなると考えられています。
ルチンは、穀類ではソバに特有に含まれるポリフェノールの一種です。活性酸素を除去する酸化防止作用の他、毛細血管を強くしたり、血圧を下げたり、また糖尿病を予防するなど、様々なはたらきがあることが知られています。 ルチンはソバ、特に韃靼蕎麦(ダッタンソバ)に多く含まれています。ルチンは紫外線から身を守るための成分なので、太陽光にさらされる殻に近い部分、つまりソバの実の外層部分に多く含まれています。
なお、従来、ルチンは、その多くが茹でている間に茹で湯の中に溶け出してしまうため、ソバ湯を飲んだほうがよいといわれていましたが、実際には数%程度しか溶出しないことが分かっています。(管理人は今でも真剣に飲んでいるのです・・・)
人間の体内には、つねに血圧を正常に保てるように絶えず調整している因子(「体液性因子」という)があります。何らかの理由でこの因子のはたらきが異常になり、そのために血圧が上がってしまうことが確認されていますが、ソバにはこの異常を抑制するはたらきを持つ成分が含まれています。 体液性因子のひとつに、アンジオテンシンT変換酵素(「ACE」とも呼ばれる)という酵素があります。また、体内の器官や血液中には、アンジオテンシンTという物質が存在していますが、そのままでは不活性型なので、血圧を上げることはありません。 ところが、ACEはこのアンジオテンシンTに働きかけて、極めて強い血圧上昇作用(血管収縮作用)を持つアンジオテンシンUを作り出します。その一方で、体内では強い血圧降下作用を持つブラジキニンという物質が作られていますが、ACEは、このブラジキニンを分解する作用も持っています。 つまり体内では、血圧を上げる作用(アンジオテンシンU)と下げる作用(ブラジキニン)とが共存しており、体が正常にはたらいている時は、血圧は正常に保たれるわけです。 しかし、何らかの原因でACEの作用が異常に強くなると、このバランスが崩れて、血圧上昇作用が突出してしまいます。そのために血圧が上昇してしまうのですが、この作用をほどよく抑えれば、血圧は下がることになります。
現在、さまざまな血圧降下剤が実用化されています。その中には、アメリカで開発された、ACEの作用を弱めるものもありますが、ソバに含まれる阻害物質の化学構造は、その降下剤とほぼ同じです。 ただし、降下剤のような薬剤の場合、使用を中止すると、かえって血圧が上昇してしまうなどの副作用を伴うことがあります。しかし、食品中に含まれる物質にこのような作用があるとすれば、副作用の心配はいりません。 もちろん、薬剤と比べた場合の効果は弱いですが、一定量を食べ続けることで、はるかに穏やかで安定した効果が期待できるというメリットがあります。ソバ粉が高血圧によいという民間伝承は正しかったのです。 ちなみに、百数十品目の食品を使った実験では、このACEの作用を抑制する物質は、小豆やソラマメなどの豆類、キウイ、イチゴなど果物、アスパラガス、カラシナといった野菜類、そして一部の魚介類にも含まれていますが、ソバの効果が際立って高いという結果が得られました。
ソバに含まれているのは、このACEのはたらきを阻害する機能を持つ物質です。 ソバに含まれるルチンには、毛細血管の強化作用ばかりでなく、血圧の降下作用もあることが確認されていますが、ルチンの作用はACEとは無関係とされています。つまり、ソバには、血圧を下げるための二重の効果があるわけです。 ルチンは、たんぱく質やミネラル、ビタミンと同様に、ソバの実の外層部分に多く含まれていますが、ACE阻害物質は反対に、内層部分に多く含まれています。白っぽいソバ粉は血圧を下げる成分を多く含み、黒っぽいソバ粉は主として、血管を強化する成分を多く含むということになります。 従来、白いソバはでんぷんが主体で味も薄く、ルチンの含有量も少ないと栄養的に低く見られがちなきらいもありましたが、このように素晴らしい成分を含んでいたのです。
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