山葵(わさび)の辛味成分であるアリルイソチオシアネートもファイトケミカル
水わさび(わさび田)の根は大きいが、畑わさびや自生種のわさびの根は小さい。これにはわさびが根から放出するアリルイソチオシアネートのはたらきがありました。 アリルイソチオシアネートはわさび特有の鼻にツーンと抜けるような辛味の主成分で、「アリル芥子油(がいしゆ)」とも呼ばれます。含硫化合物に分類されるファイトケミカルです。
多くの植物は、根にVA菌(※)という土の中からリン酸や水分などを集めてくれる菌を持っています。しかしわさびにはこのVA菌が無く、競争力が弱いのです。 そこでわさびは、VA菌を持つ植物に栄養分を取られてしまわないように、アリルイソチオシアネートを土の中に放出し、他の植物を寄せ付けないようにしています。 しかし、この土中に出されたアリルイソチオシアネートは、同時にわさび自身の成長も邪魔してしまうという困った現象を起こします。これが自家中毒です。 わさびが育つには、水に酸素がいっぱい溶けている必要があります。わさび田は水が上から下へと流れ落ちる段々畑の構造になっています。 ですから、水が落ちる時空気の泡が出来て酸素が水に溶け込み、多くの酸素をわさびに与える事ができるのです。 わさびが出すアリルイソチオシアネートを水で流し自家中毒を防ぎ、大きく育てるのがわさび田なのです。
山葵(わさび)は学名をEutrema japonica(Wasabi japonica)といいます。 二つの学名がありました。後者は日本語そのままですね。どちらにも、“ジャポニカ”という単語が入っています。種類は赤茎種、と緑茎種の二種類があります。 日本の主要な産地は静岡県、長野県、島根県、山梨県、岩手県等です。また、台湾、ニュージーランド、中国などでも栽培されています。伊豆市が市の花に指定しています。
アリルイソチオシアネートはわさび特有の鼻にツーンと抜けるような辛味の主成分で、抗菌、抗がん、抗酸化作用があります。 この辛味成分はわさびをすりおろさないと出てきません。根や葉の細胞にシニグリンという物質が含まれていて、 すりおろして細胞が壊れるとミロシナーゼという酵素の働きで分解されてアリル芥子油(がいしゆ)になります。 このアリルイソチオシアネートには、細菌の増殖を抑制する働きがあり、食中毒予防に効果があります。生の魚を使う刺身や寿司にわさびを使うのは大変理に叶ったことといえます。 ただし、アリルイソチオシアネートは揮発性の物質なので、すりおろしてから時間が経つとなくなってしまいます。わさびは食べる直前にすりおろすのがおすすめです。 また、野菜や果物の鮮度保持にも効果があります。野菜や果物は自らが出すエチレンガスや酵素により、褐色に変色し傷んできます。アリルイソチオシアネートはエチレンガスの発生を抑制する力があり、青果物の老化を防ぎます そのほかにも、わさびには香味成分のはたらきで食欲を高めると共に、消化液の分泌を促し、消化を助けるという役割も担っています。
最近の研究で、わさびの根茎に含まれる成分「6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート」が、各方面から注目を集めています。「金印」さんでは『わさびスルフィニル』と命名しました。
わさびスルフィニルは本わさびに含まれる芥子油の一種です。正式名称は「6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート」といいます。 金印さんの特許製法により、本わさびの根茎から辛味成分を除き、健康成分「6-メチルスルフィニルヘキシルイソチオシアネート」を高濃度抽出した「わさびスルフィニル(6-MSITCR)」を使用出来るのは金印さんだけです。 本わさびの根茎に特に多く含まれる成分ですが、その含有量はごく微量で大変貴重な成分です。本わさびの品種ごとでも含有量が異なり、金印さんの開発品種「みつき」はわさびスルフィニルが多いことがわかっているそうです。
わさびはアブラナ科の植物で、普段私達が食べているのは、根と茎の間にある根茎という部分です。実はカラシもわさびと同じアブラナ科で、驚くことに辛味成分に関しては、ほとんど同じだというのです。 本当なのでしょうか?
わさびは醤油で溶くと辛さと香りが半減してしまうそうです。刺し身を食べる時はぜひ、刺し身の上に直接わさびをのせて、下に醤油をつけて召し上がってみてください。 また脂が多い赤身の魚は、イカやヒラメなどの白身の魚よりも辛みが抑えられる傾向があります。ですから、赤身のお刺し身にはわさびを多めに、白身には少なめに、というのもポイントです。 −方お蕎麦(そば)の薬味として使う場合は、鮫皮おろしでおろすと粘りが出てつゆに溶けにくくなるため、普通のおろし金でおろしたものが向いています。お試しください。
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