体脂肪の増加・肥満が生活習慣病の元凶
肥満というとき、普通は体が太っているという意味ですが、医学的に「肥満」という言葉を使うときには、脂肪が一定以上に多くなった状態のことをいいます。 人の体はさまざまな物質でできていますが、おおまかには、水分と、筋肉に多い糖質とたんぱく質、それから骨に多いミネラル、そして脂肪でできているといえます。 肥満というのは、このなかの脂肪の割合が多すぎることなんです。 肥満が糖尿病、高血圧、高脂血症などの生活習慣病の原因となることをご存じの方も多いと思います。肥満を予防したり、改善することが健康的な生活を送る基本であることはいうまでもありません。 肥満の判定で一般的によく使われているのがBMI(体格指数)です。BMIは体重(kg)÷身長(m)÷身長(m)で求められ、日本肥満学会ではBMIが25以上を肥満としています。 体脂肪率が男性で20%以上、女性で30%以上になると肥満と考えられます。太って見えなくとも体脂肪率の高い人のことを俗に「隠れ肥満」といいますが、このタイプが問題となります。 体重が純粋な体の「重さ」であるのに対し、体脂肪率とは体重に占める「脂肪の割合」のことをいいます。脂肪は生きていくためにある程度は必要です。しかし、増え過ぎると美容と健康の大敵になってしまいます。
肥満している人は、体中あちこちに余分な脂肪がついています。たとえば、のども脂肪で狭くなっています。起きているときはいいのですが、眠って筋肉が緩んでいると空気の通りが悪くなります。 それで、眠っている間に息をしない時間が何度もある「睡眠時無呼吸症候群」という症状になることがあり、下手をすると命にも関わります。 また、肥満しても骨の太さはほとんど変わりませんから、体重が骨や関節によけいな負担をかけます。それが、腰痛や関節痛の原因となることも多いのです。
脂肪が体のどこについているかによって、生活習慣病を招きやすいかどうかがある程度わかります。肥満と生活習慣病の関係について着目し、世界で初めて発表したのはフランスのバーグ教授だといわれています。 バーグ教授は、下腹部やお尻、太ももなどの下半身に脂肪がつく女性型肥満(洋なし型肥満)より、ウエストや胃のあたりに脂肪がつく男性型肥満(りんご型肥満)のほうが糖尿病になりやすいと指摘しました。 それ以来、りんご型肥満に生活習慣病が起こりやすいという研究報告が相次ぎました。その後の研究で、りんご型肥満の多くは腸の外側にある腸間膜に脂肪がつく内臓型肥満であることがわかってきました。 一方の洋なし型肥満に多いタイプは皮下脂肪型肥満です。内臓型肥満になると肝臓でのさまざまな代謝に異常を来たし、生活習慣病の発症に影響すると考えられています。
肥満の2大要因は、食べすぎ(エネルギーのとりすぎ)と運動不足なんですが、日本人の場合、ここ10年ほど、平均するとエネルギー摂取量はほとんど横ばい状態です。
それなのに肥満の人は増えているから、運動不足の影響が大きいと考えられています。減量というと、運動よりも食事制限が重視されがちですが、肥満の予防や解消には、運動もおなじくらい大切です。 体脂肪を燃やすためには、酸素を体に取り込みながら行う有酸素運動が効果的です。つまり、水泳、ウォーキング、エアロビクスなどがおすすめになります。有酸素運動は、ある程度まとまった時間続けて行うことが重要なポイントです。 また、筋肉は体脂肪を燃やす最大の組織です。筋肉をつけることで基礎代謝量を上げ、運動をしなくてもエネルギーを消費しやすくなります。筋肉のある体作りを目指すことも大切なことです。
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